2006-09-03

「謎の彼女 X」(植芝理一)

今、マンガ雑誌の「月刊アフタヌーン」で、楽しみにしているマンガが三つあります。

一つは、「おおきく振りかぶって」(ひぐちアサ)。もう一つは、「ヒストリエ」(岩明均)。そして最後の一つが、「謎の彼女 X」(植芝理一) です。この内、「おおきく振りかぶって」と「ヒストリエ」は単行本が複数冊出ているので、知っている方も多いかと思います。

一方、「謎の彼女 X」は、2006/05 月号から連載が始まったばかりのニューフェース。単行本も、第一巻が 2006-08-23 に出たばかりです。ご存じない方もいらっしゃると思うので、ここで紹介します。

なぞ...

この作品のキーワードは「謎」です。そして、小道具に「よだれ」と「ハサミ」が登場します。

物語は、「謎」な女の子卜部と普通の少年椿の恋愛模様です。卜部さんは、こんな所で謎です。

  • 授業中に椅子を倒す程の大爆笑をする
  • 誰かは分からない声を聞いてしまう
  • パンツにハサミを挟んでいる
  • 彼女になっても、彼氏と「手を繋ぐ必要はない」と考えている

しかし、何といっても一番謎なのは、彼女と絆がある男の子は、彼女の「よだれ」に影響を受けることでしょう。ここで、彼女にとって絆がある男の子とは、彼氏になる男性を指すようです。つまり、主人公の椿君がその対象ですね。

椿君は、彼女に恋をして、よだれをなめてしまいます。その結果、5 日間も学校を休むハメに... 見舞いに来た卜部さんが言うには、原因は禁断症状とのこと。つまり好きな女の子のよだれを再び舐めたいと... 要点をまとめると、「恋の病」!! 椿君は、彼女のよだれを舐めて全快します。先程、椿君を普通の少年と書きましたが、この時点で彼も「普通」から足を踏み外していますね。主人公の名前が「つばき (唾)」な時点で、出会いは運命だったのかもしれません。

結局、二人は付き合うことになりますが、そこまでの話が読み切り掲載された分です。つまり、「謎の彼女 X」の連載は、二人が付き合い始めた所から始まります。従って、付き合うまでの読み切りエピソードは、第 0 話として収録されています。

面白いことに、大低の恋愛マンガが、主人公とヒロインの告白をクライマックスに持って来るのに、「謎の彼女 X」はそこがスタート地点なのですね。そして、この手のマンガでは、主人公が (何故か) 続々と女の子に言い寄られて優柔不断に陥るものですが、椿君は (今のところ) ヒロイン一筋です。そんな彼の言葉を引用してみましょう。

たしかに…… さっき会ったあの子は―― おれが以前片想いしてた女の子で…… 今日久しぶりに会ってやっぱり美人だなって思ったし…… 誘いをことわった時は 正直 ちょっと惜しかったな――って思ったけど…… でも 今一番好きな女の子は―― やっぱり卜部だから…… それは―― 絶対本当だから……

男の子らしい台詞にも感心することながら、マンガのセオリー的流れを無視した展開に、クラクラです。先が読めません。いくつもの、恋愛マンガの王道を破っているにもかかわらず、気付けば「謎の彼女」の不思議な魅力に引き寄せられているんですね。

ん? どれ位い魅力的かって?

少くとも、こんなエントリーを書いてしまう位いに面白いです。

もっと詳しいエントリーを、マンガがあればいーのださんがスクリーン・ショット付で書いておられます。併せて読んで頂ければ、参考になるかと。

謎の彼女X 1 (1)
4063144240
植芝 理一


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