2011-03-24

魔女の宅急便 4 キキの恋 (角野 栄子)

「魔女の宅急便」シリーズの 4 作目です。13 歳で魔女として一人立ちしたキキは、17 歳になりました。

魔女の宅急便〈その4〉キキの恋 (福音館創作童話シリーズ)
角野 栄子 佐竹 美保

4834005860
福音館書店 2004-03-10
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魔女とはいえ、キキも 17 歳の少女です。思春期に入り、とんぼさんが気になってしょうがありません。本作はそんなキキが思春期特有の失敗を重ねながら、成長するものがたりです。一作目の「魔女の宅急便」は 13 歳の子供ゆえの失敗を重ねて成長する物語でしたから、何だか既視感を持つ四作目でした (エッ! キキが成長してないわけじゃありませんよ)。

今回はキキだけの視点でなく、とんぼさんの視点からも少しエピソードがこぼれてくるのが特徴です。といっても、とんぼさんからの手紙をキキが読む、という形式で進んで行くのですが。

一人で山にこもったとんぼさんは、麓のポストからキキに手紙を書きます。その中で彼はようやく自分に自信をつことが出来たと告げます。

何年もあせっていたぼくの気持ちがやっとおちついてきた。

とんぼさんも、とんぼさんなりに悩んでいたんですね。そして、上の文章に続けて...

そしてはじめて心の底からキキの全部がすきだと思えた。魔女のキキも、キキの魔女もすきだよ

うわっ! とんぼさん、不意討ちラブレターですよ。びっくりしたぁ。

本作、最後のエピソードはキキの母親コキリさんの病気です。コキリさんからの電話で実家に帰ってみると、コキリさんはベッドの中。父親のオキノさんも心配気味です。キキは自分の薬をコキリさんにも与えますが、全快しません。そしてコキリさんの「くすりぐさ」が急に枯れてしまいます。

コキリさんが育ててきたくすりぐさが、最後の力をふりしぼって、コキリさんに生きる力を与えてくれたのでした。ちょっとウルっときたエピソードでした。コキリさんは、新米魔女とくすりぐさに救けられた、と言います。ある意味、キキがコキリさんから認められ巣立ち (?) したエピソードと言っても良いかもしれません。

元気になったコキリさんは、キキと昔の話をします。オキノさんに自分が魔女であると告げた時の話です。オキノさんはこう答えました。

ぼくの奥さんは、すごい才能の持ち主なんだね

不意討ちプロポーズです。ああ、びっくりした。

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