2013-02-21

週刊少年マガジンの読み切り「聲の形」が素晴らしい!

マンガ用の Twitter 裏アカウント @akaxp でも呟きましたが、あまりにも素晴らしいのでブログに書かずにはいられませんでした。

耳の聞こえない転校生の少女。筆談による会話。支える人々。

子供らしい、いたずら心。小さなエスカレート。いじめ?!

先生の介入。いじめていた者がいじめられる者へ。少女の転校。

そして気がつく。あの女の子は、友達になりたかったのだと。自分が、そしてクラスメート達が、彼女を裏切ったのだと。償えない心の傷を負わせて。

数年後、彼は女の子と再会する。最初の一歩を踏みだす勇気と努力を持って。

圧巻の 61 ページ!!

下世話だけど

週刊マンガで「耳が聞こえない子」「いじめ」を扱う作品を掲載した週刊少年マガジン編集部に敬意を表したいです。

少女との再会を期して、少年の取った行為がすごくいじらしい。それは償うことでもなく。それは謝ることでもなく。少女との絆を取り戻すための手段。そう来たかー! と納得するとともに感動。

他の方が Twitter で呟いていましたが、こういう読み切りは、是非、電子書籍での発売を!!

裏話

作者は大今良時。別冊少年マガジンにて同作を掲載。それがデビュー作で、人気 1 位になったとのこと。週刊少年マガジン版は、そのリメイク作品となるようです。

大今良時氏はデビュー後、沖方丁の SF 小説「マルドゥック・スクランブル」のマンガ版を連載していました。初連載と聞いています。

マンガ版は全 7 巻にて完結。ガジノにおけるルーレットのスピナー ベル・ウィングとの対決は原作を超えたのではないかという程にスリリング。ベルは敵ながら素適な女性。本当に美しい女性というのはベルのような女性だと思います。マンガの絵と原作のイメージがピッタリ合ったのもベル・ウィングでした。

マルドゥック・スクランブル(1) (少年マガジンKC)

思えば、「マルドゥック・スクランブル」の主人公バロットも喉を切られて喋れない女の子でした。そういう事実を受け取め、前へ、未来へと歩み続けようとする。そんな主人公の姿が、ちょっと「聲の形」と重なります。

ref

追記: 2013 年 2 月 23 日

Never まとめに、一行だけですが本記事が引用されました (びっくりしたー)。

この Never まとめから、作品掲載に関するリンクがあったので、私の調べたことを交えて掲載の時系列を追います (ってか、もう Wikipedia で「聲の形」のページが出来てるよ。このページの内容が古くなるのもすぐかもしれません)

  • 2008 年: 第80回週刊少年マガジン新人漫画賞で入選を受賞
  • 2008 年: 「マガジン Special」2008 年 12 月号への掲載が見送られる
  • 2010 年 10 月: 「別冊少年マガジン」2010 年 11 月号から「マルドゥック・スクランブル」マンガ版を連載開始
  • 2010-2011: 「マルドゥック〜」連載開始後、講談社の法務部・弁護士・全日本ろうあ連盟などと協議を重ねる
  • 2011 年 1 月: 「別冊少年マガジン」2011 年 2 月号にオリジナル版掲載、読者アンケートで 1 位を取る
  • 2013 年 2 月: 「週刊少年マガジン」2013 年 12 号にリメイク版掲載

ところで、私はヒロイン・西宮 硝子 (にしみや しょうこ) を「耳の聞こえない転校生の少女」と紹介しています。これは、彼女をどのような聴覚障害者として表現するのが正しいのか分からなかったからです。

図書館内乱」に登場する聴覚障害者・毬江の言葉を引用します。文庫版 p.140 からです。

「みなさんは聾者と中途失聴者と難聴者の区別もついてないのに、どうして私がその障害者として差別されたと分かるんですか?」

聴覚障害者にとってそのカテゴリーは自身のアイデンティティに関わる重要な違いがある。

主には言語の問題だ。日本語獲得以前に聴覚障害を負い、手話を思考の第一言語としているタイプの聾者と、日本語獲得後に聴覚障害を負い、日本語を思考の第一言語としているタイプの中途失聴者や難聴者では、持っている文化やコミュニケーション方法そのものが違う。

しかも、そのカテゴリーは外的な条件で部外者が一律に区別できるものではなく、当事者が選択的に変更することさえできるのである。どのカテゴリーの属するかは重大な個性の選択だ。

ことに聾は、アイデンティティの表明として聾という言語が使われるくらい独自の文化圏を形成している。

西宮がどのカテゴリーに属するのか分からないのに、明言することは憚られました。そして、彼女がどのカテゴリーに属するのかは、本作において問題ではありません。

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